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タワーマンションの売却、競合物件が多いときどう考える? ― 同じマンション内で多数の住戸が売り出される中での売却戦略 ―
タワーマンションでは総戸数が多いことから、同じマンション内で多数の住戸が同時に売り出されているケースも珍しくありません。
特に都心部や主要都市の高額帯タワーマンションでは、同じマンション内でも、階数、方角、眺望、専有面積、間取り、室内仕様などによって価格に大きな差が生じることがあります。
一方、購入検討者にとっては、同じマンション内の複数住戸を比較しやすい市場でもあります。
高額帯になるほど購入判断も慎重になり、一度の内覧だけではなく、ご家族との再内覧や資金計画の確認など、成約までに時間を要するケースもあります。
だからこそ、単に市場へ物件を公開するだけではなく、
「誰に、どのように、この住戸の価値を伝えるのか」
という販売戦略が重要になります。
もちろん、価格は売却を左右する非常に大きな要素です。
特に同じタワーマンション内で多数の住戸が同時に販売されている場合、購入検討者には多くの選択肢があり、売主様側から見れば「買い手市場」となる場合があります。
そのような状況の中で、
「買い手市場の中で、どうすれば売却できるのか」
今回は、私自身の不動産取引の経験も踏まえながら、競合物件が多いタワーマンションの売却について考えます。
1.まず、同じタワーマンション内の競合状況を把握する
最初に確認したいのは、同じマンション内で現在どのような住戸が売り出されているのかです。
単に「何戸売りに出ているか」だけではありません。
階数、方角、眺望、専有面積、間取り、室内状態、売出価格、売出期間
などを比較します。
タワーマンションでは、同じ建物であっても、高層階と低層階、角住戸と中住戸、方角や眺望などによって評価が異なります。
また、現在の売出価格だけではなく、可能な範囲で実際の成約事例を確認することも重要です。
「売りたい価格」と「実際に市場で成立している価格」は、必ずしも同じではありません。
売却活動を開始した後も市場は動きます。
新しい住戸が売り出される。
競合住戸が価格を変更する。
競合住戸が成約し、市場からなくなる。
その時々で、ご自身の住戸が同じマンション内でどのような位置にあるのかを継続して確認することが、販売戦略の基本になります。
2.不動産会社だけではなく「担当者」を見る
タワーマンションの売却では、不動産仲介会社・担当者の選定が非常に重要だと考えています。
不動産会社によっては、ハウスクリーニング、プロカメラマンによる写真撮影、動画制作、各種保証・保険に関するサービスなど、さまざまな売却サポートがあります。
こうしたサービスも、不動産会社を選ぶうえで一つの判断材料になります。
しかし、私自身はそれ以上に、
「実際に誰が担当するのか」
が重要だと考えています。
なお、必ずしも「タワーマンション専門」を掲げる不動産会社でなければならない、ということではありません。
もちろん、対象となるマンションや周辺市場について理解していることは重要です。
しかし、それ以上に大切なのは、売主様の考えを理解し、その住戸の特徴を把握したうえで、実際にどのような販売活動を行ってくれるのかという点です。
同じマンション内の競合状況を継続して確認する。
他の不動産会社や営業担当者へ広く情報を届ける。
購入検討者から問い合わせがあれば迅速に対応する。
内覧時には、その住戸ならではの魅力をきちんとプレゼンする。
そして、売却活動が思うように進まないときには、市場の反応を分析し、次の販売方法を提案する。
こうした一つひとつの行動は、「専門」という看板だけで判断できるものではありません。
報告・連絡・相談ができる担当者
売却活動は、物件を市場に出して終わりではありません。
問い合わせはどの程度あったのか。
内覧された方は何を評価し、何を気にされたのか。
なぜ購入申込みにつながらなかったのか。
同じマンション内で新しい住戸が売り出されていないか。
競合住戸が価格を変更していないか。
実際に成約した住戸はないか。
近隣の高額帯マンションではどのような動きがあるのか。
こうした情報を継続的に確認し、売主様へきちんと報告・連絡・相談できる担当者であることが重要です。
厳しいときこそ、提案できる担当者
売却活動が順調なときだけではなく、問い合わせが少ない、内覧はあるものの購入申込みにつながらないといった状況になったときこそ、担当者の力量が問われます。
単に、
「もう少し様子を見ましょう」
「価格を下げましょう」
というだけではなく、
「なぜ動かないのか」
「何を変えるべきなのか」
「次に何をするのか」
を考え、具体的に提案できることが大切です。
価格を見直すのか。
写真や広告の見せ方を変えるのか。
競合住戸との差別化を考えるのか。
内覧時の見せ方を改善するのか。
販売条件を見直すのか。
必要なときには厳しい内容も含めて、売主様へ適切に提案できる担当者が望ましいと考えます。
「どの会社か」と同じくらい、「誰に任せるか」
会社の規模や知名度、「専門」という言葉だけで判断するのではなく、実際に担当する営業担当者の経験、対応力、提案力、そして他の不動産会社とのつながりまで含めて判断することが大切です。
査定価格についても同様です。
最も高い査定価格を提示した会社が、必ずしも最も良い売却結果につながるとは限りません。
その価格を提示した根拠は何なのか。
どのような購入者を想定しているのか。
どのような販売方法を考えているのか。
売却活動が長期化した場合、どのような次の提案を考えているのか。
こうした点まで確認したうえで、不動産会社・担当者を選ぶことが重要です。
「どの会社に依頼するか」と同じくらい、「誰に任せるか」を考える。
高額な資産の売却だからこそ、時間をかけてでも、本当に信頼できる担当者を探すことをおすすめします。
3.他の不動産会社へも広く情報を届ける
タワーマンションの買主様が、売却を依頼した不動産会社の顧客とは限りません。
他の不動産会社が、まさにそのマンション、そのエリア、その価格帯を探している購入希望者を抱えている場合もあります。
そのため、自社の顧客だけを対象にするのではなく、他の不動産会社へも積極的に物件情報を告知できる担当者であることが重要です。
日頃から他の不動産会社や営業担当者とのつながりを持ち、情報を広く共有できること。
買主側の不動産会社から問い合わせがあった際には、資料提供、質問への回答、内覧日時の調整などを迅速に行うこと。
高額帯の取引だからこそ、こうした一つひとつの対応も重要になります。
私自身は、複数の不動産会社へ同時に売却を依頼するよりも、本当に信頼できる一社・担当者を窓口としながら、他の不動産会社にも広く情報を届けてもらう販売方法をおすすめしています。
4.実際に住んだからこそ分かる魅力を、担当者へ伝える
実際にお住まいになった売主様だからこそ分かる、**「この住戸の良いところ」**があります。
不動産会社は、間取り、専有面積、階数、方角、設備、管理状況など、物件資料から多くの情報を確認できます。
しかし、実際に生活して初めて分かる魅力もあります。
時間帯による室内の明るさ。
窓から見える景色や夜景。
室内の静かさ。
風通し。
収納や間取りの使いやすさ。
共用施設の便利な使い方。
エレベーターや館内動線。
周辺の買い物や交通の利便性。
こうした情報を事前に担当者へ伝えておけば、購入検討者が内覧された際に、担当者からその住戸ならではの魅力としてプレゼンすることができます。
図面や物件概要だけでは分からない情報が、同じマンション内の競合住戸との差を伝える材料になる場合もあります。
売主様が住戸の魅力を担当者へ伝え、担当者がその情報を整理して購入検討者へ伝える。
この連携も、大切な販売活動の一つです。
5.室内写真は、できるだけオープンに掲載する
購入検討者は、インターネット上で同じマンション内の複数住戸を比較している場合があります。
間取り図と外観写真だけでは、室内の状態を判断できません。
可能であれば、リビング、キッチン、各居室、水回り、収納、バルコニーなど、室内写真をできるだけ掲載しておくことをおすすめします。
タワーマンションでは、窓からの眺望やLDKの開放感なども重要な情報です。
必要に応じてプロカメラマンによる写真撮影や動画を活用し、
「実際にこの住戸を見てみたい」
と思っていただくことが、内覧への第一歩になります。
6.高額帯だからこそ、情報の「出し方」も考える
一方、高額帯のタワーマンションでは、できるだけ多くの購入検討者へ情報を届けることと同時に、どこまで情報を公開するのかについても考える必要があります。
特に居住中の場合、室内写真には家具、調度品、美術品、私物などが写り込むことがあります。
売主様のプライバシーやセキュリティを考慮すれば、すべてを無条件に公開することが最善とは限りません。
しかし、情報を限定しすぎれば、購入検討者から見て室内の状態が分からず、写真が充実した競合住戸へ関心が向く可能性もあります。
そのため、
「広く公開する情報」
と、
「具体的な購入検討者へ個別に伝える情報」
を整理しておくことも一つの方法です。
高額帯の不動産だからこそ、売却機会を確保しながら、売主様のプライバシーにも配慮した情報の扱いが重要になります。
7.低層階にも、それを求める購入者がいる
タワーマンションでは、高層階や眺望の良い住戸が注目されがちです。
しかし、すべての購入者が高層階を希望するわけではありません。
高層階が苦手な方、エレベーターでの移動時間を気にされる方、眺望より価格を重視される方、間取りや生活動線を優先される方など、購入者によって優先順位は異なります。
低層階だから、高層階より必ず売却しにくいと決めつける必要はありません。
不動産取引では、すべての購入検討者に気に入っていただく必要はありません。
その住戸の特徴を求めている一組の買主様へ、きちんと魅力を伝えること。
これが重要だと考えています。
8.内覧時は、できるだけ明るく、清潔に
購入検討者が実際に住戸を見る内覧は、非常に重要です。
カーテンを開け、照明をつけ、できるだけ明るい状態にする。
室内を整理整頓し、玄関や水回りなども含めて清潔感を意識する。
高額なタワーマンションであっても、購入検討者が最終的に確認するのは「実際の住戸」です。
階数、方角、眺望など変えられない条件があるからこそ、
変えることのできる部分をできる限り整えておく。
こうした積み重ねも販売活動の一つです。
9.共用部分も含めて、タワーマンションの価値を伝える
タワーマンションの商品価値は、専有部分だけではありません。
エントランス、ラウンジ、ゲストルーム、セキュリティ、コンシェルジュサービスなど、マンションによってさまざまな特徴があります。
内覧では可能な範囲で共用部分も確認していただき、
「この住戸を購入する」だけではなく、「このタワーマンションで暮らす」
というイメージを持っていただくことも大切です。
担当者自身がマンションの特徴や共用施設を理解し、購入検討者へきちんと説明できることも重要です。
10.駐車場・駐輪場などの情報は事前に確認しておく
高額帯のタワーマンションでは、駐車場の条件が購入判断に影響することもあります。
特に機械式駐車場では、空き状況だけでなく、車高、車幅、全長、重量などの制限があります。
所有されている車種によっては、駐車できるかどうかが重要な条件になる場合もあります。
駐輪場なども含め、管理会社等へ確認できる範囲で事前に情報を整理しておくことをおすすめします。
購入検討者から質問を受けてから調べるのではなく、購入判断に必要となる可能性のある情報を先回りして準備しておくことも、担当者の重要な役割です。
11.居住中に売却するか、空家にしてから売却するか
タワーマンションは、住みながら売却することも可能です。
家具や家電が設置されているため、購入検討者にとっては家具の配置や生活動線など、購入後の暮らしをイメージしやすいというメリットがあります。
一方、高額帯の物件では、一度の内覧だけで購入を判断せず、ご家族と再度確認したり、時間帯を変えて眺望などを確認したりするなど、複数回の内覧を希望される場合があります。
その際、売主様と購入検討者のスケジュールが合わず、希望する日時に内覧できなければ、話が前に進まないケースもあります。
特に同じマンション内に競合住戸が多い場合、その間に別の住戸を内覧され、購入を決められる可能性も考えておく必要があります。
また、居住中ではプライバシーへの配慮も必要です。
そのため、売却を急いでおらず転居時期を調整できるのであれば、先に転居し、空家にしてから売却活動を行うことも有力な選択肢だと考えています。
ただし、空家期間中も管理費、修繕積立金、固定資産税、住宅ローンなどの負担が続く場合がありますので、資金計画とのバランスも必要です。
12.それでも動かない場合は、価格を見直す
さまざまな販売方法を工夫しても、
問い合わせが少ない。
問い合わせはあるが内覧につながらない。
内覧はあるものの購入申込みにつながらない。
という状態が続く場合があります。
厳しい話になりますが、その場合には、売出価格の見直しも検討する必要があります。
タワーマンションは、同じマンション内の住戸同士を比較しやすい不動産です。
競合住戸の階数、方角、眺望、広さ、間取り、室内状態などを比較したとき、現在の価格差に合理性があるのか。
売却開始時から競合住戸が増えていないか。
価格変更された住戸はないか。
実際に成約した住戸はいくらだったのか。
問い合わせや内覧者から、どのような反応があったのか。
こうした情報を改めて確認します。
単純に「売れないから値下げする」のではなく、現在の市場から見て適正な価格なのかを再検討することが重要です。
また、売却期間が長くなれば、管理費、修繕積立金、固定資産税、住宅ローンなどの保有コストも発生します。
そのため、
「いくらで売りたいのか」だけではなく、「いつ頃までに売却したいのか」
という時間軸も含めて判断することが大切です。
最後に──高額な資産だからこそ、「どう売るか」まで考える
高額帯のタワーマンションでは、数%の価格差でも、実際の金額にすると大きな差になります。
だからこそ、価格設定は非常に重要です。
一方で、高額な資産だからこそ、価格だけを見て売却を考えるのではなく、
誰に売却するのか。
どのように情報を届けるのか。
どのように住戸の価値を伝えるのか。
どのタイミングで条件を見直すのか。
という販売戦略も重要になります。
私自身、これまで不動産取引に携わってきた経験から、不動産はすべての購入検討者に気に入っていただく必要はないと考えています。
最終的に必要なのは、
「この住戸を購入したい」
と思っていただける一組の買主様です。
その一組と出会うまで、時間がかかることもあります。
だからこそ、売却活動が順調なときだけではなく、厳しいときにも報告・連絡・相談を行い、
考える。
工夫する。
そして、次の提案をする。
その姿勢を持った担当者と売却活動を進めることが重要です。
売主様だからこそ知っている住戸の魅力を担当者へ伝える。
担当者はその価値を理解し、購入検討者へプレゼンする。
他の不動産会社にも広く情報を届ける一方で、売主様のプライバシーにも配慮する。
そして市場の反応や競合住戸の動向を確認しながら、必要であれば販売方法や価格を見直していく。
高額な資産だからこそ、「いくらで売るか」だけではなく、「どう売るか」まで考える。
それが、競合物件が多いタワーマンションを売却するうえで大切なことだと考えています。
※本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、特定の不動産の売却を推奨するものではありません。売却価格・売却期間等を保証するものではなく、物件の個別条件、市場環境、管理状況等によって異なります。
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