長期金利3%時代が視野に。収益不動産は「売る・持つ」をどう判断する? ― 金利上昇と不動産価格上昇が同時進行する2026年 ―

日本の金利環境が、大きく変わり始めています。

2026年8月、日本の10年国債利回りは一時2.945%まで上昇し、約30年ぶりの高水準となりました。

長く続いた「低金利を前提とした不動産投資」から、金利のある時代を前提とした不動産経営へ。

収益不動産を所有する方にとっても、今後の保有方針を考える重要な局面に入ってきたのではないでしょうか。

日銀も「政策金利を引き上げていく」姿勢

日本銀行は2026年7月の「経済・物価情勢の展望」において、経済・物価・金融情勢に応じて、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく方針を示しています。

もちろん、国債利回りの上昇が、そのまま同じ幅で不動産融資金利に反映されるわけではありません。

金融機関や借入期間、借り手の属性、物件内容などによって融資条件は異なります。

しかし、これまでのように「低金利が長期間続くこと」を当然の前提として収支を考えることには、注意が必要になってきています。

金利が1%上昇すると、どの程度影響するのか

例えば、借入残高が1億円あるとします。

単純計算では、借入金利が1%上昇すると、年間の金利負担は約100万円増加します。

借入残高3億円なら約300万円。

5億円なら約500万円です。

実際の返済額への影響は返済方式や残存期間などによって異なりますが、収益不動産のキャッシュフローを考えるうえで、金利上昇は無視できない要素です。

特に、

「購入当初より金利が上昇している」

「築年数が進み修繕費が増えてきた」

「賃料収入が大きく伸びていない」

「今後、大規模修繕を予定している」

といった物件では、一度収支を見直してみる必要があります。

表面利回りだけでは判断できない

収益不動産を見る際、「表面利回り○%」という数字は分かりやすい指標です。

しかし、実際にオーナーの手元に残る金額は、

賃料収入から、

管理費、修繕費、固定資産税・都市計画税、保険料、その他運営費、そして借入返済などを差し引いた金額です。

つまり、物件価格や表面利回りだけではなく、

「借入返済後に、年間いくら残っているのか」

を見ることが、これまで以上に重要になっています。

では、金利が上がれば売却した方がよいのか?

必ずしもそうではありません。

賃料収入が安定しており、借入残高も減少している。

立地が良く、今後も一定の賃貸需要が期待できる。

十分なキャッシュフローが確保できている。

このような物件であれば、金利が上昇したからといって、すぐに売却する必要はないでしょう。

反対に、

金利上昇によってキャッシュフローが大きく減少する物件や、今後多額の修繕費が必要となる物件については、保有を続けることだけが正解とも限りません。

大切なのは、

「金利が上がったから売る」

でも、

「不動産価格が上がっているから持ち続ける」

でもなく、数字を確認して判断することです。

「金利4%」になった場合も一度計算してみる

現在の借入金利だけでなく、

金利3%の場合

金利4%の場合

など、いくつかのケースを想定して将来のキャッシュフローを確認してみることも有効です。

その結果、

「4%になっても十分な収益が残る」

のであれば、保有を継続する一つの判断材料になります。

一方、

「3%を超えるとほとんどキャッシュフローが残らない」

のであれば、今後の方針を早めに考えておく必要があるかもしれません。

「保有した場合」と「今売却した場合」を比較する

もう一つ確認しておきたいのが、現在の不動産価値です。

仮に売却するとしたら、現在いくらで売却できるのか。

そこから、

借入残高、売却にかかる諸費用、税金などを差し引くと、どの程度の資金が手元に残るのか。

これを把握して初めて、

「このまま5年・10年保有する」

という選択肢と、

「現在売却して利益を確定する」

という選択肢を比較できます。

売却する予定がなくても、現在の資産価値と残債を確認しておくことには意味があります。

「売る・持つ」の二択ではない

収益不動産の選択肢は、売却と保有だけではありません。

借換え、繰上返済、賃料の見直し、運営コストの改善、大規模修繕、資産の組替えなど、様々な方法があります。

だからこそ、まず現在の状況を数字で把握することが重要です。

Link Realtyの考え

これからの収益不動産市場では、物件価格や表面利回りだけを見るのではなく、

「金利上昇後も、実際にいくら手元に残るのか」

という視点が、これまで以上に重要になると考えています。

金利が上昇したから売却する。

不動産価格が高いから保有する。

そのような単純な判断ではありません。

現在の借入条件、残債、賃料収入、運営費、今後の修繕計画、そして現在の売却価格。

これらを整理したうえで、

「保有を続けた場合」と「現在売却した場合」

を比較する。

その結果、「今は売らない」という結論になることも、もちろんあります。

不動産を売却すること自体が目的ではなく、所有する不動産を今後どうしていくことが適切なのかを考える。

金利のある時代だからこそ、その判断が重要になってきているのではないでしょうか。

執筆・監修

Link Realty株式会社
代表取締役 米須 雄二

宅地建物取引士
公認 不動産コンサルティングマスター
賃貸不動産経営管理士
上級相続診断士

Opinion

相談したい

売却・購入以外にも、お客様の様々な不動産にまつわるご相談を承っております。
ご相談は無料です。お気軽にご相談ください。

安心してご相談ください

賃貸不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター、上級相続診断士が在籍しています。

お問い合わせ方法

お問い合わせについて
コンプライアンスおよび不正防止の観点から、お電話・メールによるお問い合わせの際は、
お名前・ご住所(所在地)・電話番号・メールアドレスのご申告をお願いしております。
誠に恐縮ではございますが、必要事項をご申告いただけない場合や、ご本人様確認ができない場合は、お問い合わせへの対応をいたしかねます。
何卒ご理解とご協力のほどお願い申し上げます。

Access

アクセス

contact