不動産オーナーのための相続準備 相続が起きる前に確認しておきたい5つのこと

不動産を所有されている方にとって、「相続」はいつか向き合うことになる重要なテーマです。

特に、一棟マンションやアパート、テナントビル、土地などを所有している場合、預貯金とは異なり、簡単に分けることができません。

「まだ元気だから大丈夫」
「相続が発生してから家族で考えればいい」

そう考えている方も少なくありません。

しかし実際には、相続が発生してから初めて不動産について調べてみると、

「今、いくらで売れるのか分からない」
「借入金がどれだけ残っているのか家族が知らない」
「兄弟の共有名義になってしまった」
「建物が古く、今後大規模な修繕が必要だった」
「相続人によって、売却するか保有するか意見が分かれた」

といった問題が出てくることがあります。

相続対策というと「相続税をいくら減らせるか」に目が向きがちですが、不動産オーナーにとって大切なのは、所有する不動産の現状を把握し、将来どうするのかを考えておくことではないでしょうか。

今回は、不動産オーナーが相続前に確認しておきたい5つのポイントをご紹介します。

1.所有している不動産を整理する

まず確認したいのが、「どのような不動産を所有しているのか」です。

所在地や土地・建物の面積だけではありません。

現在の賃料収入、入居状況、管理会社、借入残高、修繕履歴、契約関係なども含め、一度整理しておくことが重要です。

所有者本人にとっては当たり前のことでも、相続する家族が同じように把握しているとは限りません。

複数の不動産を所有している場合は、物件ごとに情報をまとめておくだけでも、将来の相続手続きは大きく変わります。

2.「相続税評価額」だけでなく「現在の市場価値」を知る

不動産には、相続税評価額、固定資産税評価額、実際の不動産市場で売買される価格など、いくつかの異なる「価格」が存在します。

そのため、

「相続税評価額が1億円だから、1億円で売れる」

とは限りません。

反対に、市場価格が相続税評価額を大きく上回っているケースもあります。

特に収益不動産の場合、立地だけでなく、賃料、稼働率、築年数、修繕状況、金利環境、将来の建替え可能性などによって市場評価は変化します。

相続を考える際には、税務上の評価とともに、現在の不動産市場ではどの程度の価値があるのかを把握しておくことが大切です。

3.「誰に何を残すのか」を考える

現金であれば比較的分けやすい一方、不動産は簡単には分割できません。

例えば、3億円の一棟マンションを3人の相続人で均等に分けようとして、3人の共有名義にすることも考えられます。

しかし、その後、

「一人は売却したい」
「一人は賃料収入を得ながら保有したい」
「一人は建替えたい」

となれば、意思決定が難しくなる可能性があります。

共有そのものが悪いわけではありませんが、将来の売却や建替え、大規模修繕などを考えると、相続前に「誰がどの資産を引き継ぐのか」を検討しておく意味は大きいでしょう。

4.その不動産を「残す理由」があるか考える

長年所有してきた不動産には、当然、思い入れがあります。

ただし、

「昔から所有しているから、そのまま残す」

という判断が、必ずしも次の世代にとって最適とは限りません。

築年数が進んだ建物では、今後の大規模修繕や設備更新が必要になることがあります。

また、相続する方が遠方に住んでいたり、不動産経営に関心がなかったりするケースもあります。

逆に、立地が良く、安定した収益があり、長期保有する価値が高い不動産であれば、次世代へ引き継ぐことが有力な選択肢になります。

大切なのは、単純に「売る・売らない」を決めることではありません。

保有する、売却する、建て替える、資産を組み替える。

それぞれを比較したうえで判断することです。

5.相続が発生する「前」に家族で話しておく

そして、最も大切なのが家族との情報共有です。

相続が発生した後、初めて家族が所有不動産の状況を知るケースは珍しくありません。

不動産の価値、借入、収益、管理状況、今後必要になる修繕などを事前に共有しておくだけでも、相続後の判断はしやすくなります。

2024年4月からは相続登記も義務化されています。

相続によって不動産を取得したことを知った場合、原則として一定期間内に相続登記を行う必要があります。

相続は「いつか考えること」ではなく、元気なうちから少しずつ準備しておくことが重要になっています。

相続対策の第一歩は「今の不動産を知ること」

相続について考える際、最初から「売却する」「節税する」と結論を出す必要はありません。

まず、

この不動産はいくらくらいの価値があるのか。
年間どのくらいの収益を生んでいるのか。
今後どの程度の修繕費が必要なのか。
借入を含めた実質的な資産価値はいくらなのか。
そして、次の世代に残すべき不動産なのか。

これらを整理することが、不動産オーナーにとっての相続準備の第一歩だと考えています。

Link Realty株式会社では、一棟収益マンション・アパート、ビル、土地などの事業用・収益不動産について、現在の市場性や収益性、将来の売却可能性など、不動産の観点からご相談を承っております。

相続をきっかけに売却することが正解とは限りません。

「残すべきか、売却すべきか、まだ判断できない」という段階からでも、不動産の現状を整理することは可能です。

税務・法務など専門的な判断が必要な場合には、税理士・司法書士・弁護士等の専門家への確認も含めながら、将来の資産整理を検討していくことが大切です。

不動産を「相続する」前に、不動産を「知る」。

これからの相続準備において、大切な視点の一つではないでしょうか。

※本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務上の判断を行うものではありません。具体的な相続税・登記・法律上の取り扱いについては、税理士・司法書士・弁護士等の専門家へご確認ください。

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